OSS研究所OPEN SOURCE OBSERVATORY

データレポート · 2026-07-07

OSSライセンスの割合

GitHub 約3.33万リポジトリの実データで見る、オープンソースのライセンス分布。

「既存のOSSを改良し、自分のソースは非公開のままサービス(SaaS)として提供できるか」——この視点でGitHubのライセンス分布を集計しました。結論から言うと、商用サービス化に使えるライセンスが大多数を占めます。

51.01%
最多は MIT。単独で過半数を占める
93.13%
本命パーミッシブ + GPL で商用サービス化が可能
1.24%
SaaSを禁じる AGPL はごくわずか

01商用サービス化できるOSSはどれくらい?

各ライセンスを「非公開のままSaaS提供できるか」で分類し、構成比を積み上げたのが下の帯です。

本命(パーミッシブ) 72.62%GPL(SaaS運用なら可) 20.51%条件付きOK(弱いコピーレフト) 3.18%パブリックドメイン相当 2.21%回避(SaaS封じ) 1.24%その他・要確認 0.26%

本命パーミッシブだけで 72.62%GPLを加えて 93.13%弱いコピーレフトやパブリックドメインまで含めると 98.52% が使える計算です。

02ライセンス別シェア(上位15)

色は当研究所の判定(◎本命/△GPL/○条件付き/✕回避)に対応。バーはシェアの大きさを表します。

MIT◎ 本命
51.01%
Apache-2.0◎ 本命
14.89%
GPL-2.0△ SaaS可
10.27%
GPL-3.0△ SaaS可
10.24%
BSD-3-Clause◎ 本命
4.53%
BSD-2-Clause◎ 本命
1.66%
Unlicense◎ 実質自由
1.4%
AGPL-3.0✕ 回避
1.24%
LGPL-3.0○ 条件付
1.2%
CC0-1.0◎ 実質自由
0.81%
EPL-1.0○ 条件付
0.73%
LGPL-2.1○ 条件付
0.68%
MPL-2.0○ 条件付
0.57%
ISC◎ 本命
0.53%
Artistic-2.0— 要確認
0.26%

単位は%。母数はライセンスが検出された 3,325,634 リポジトリ。各行にカーソルを合わせると判定理由が表示されます。

03なぜMITが過半数なのか

MIT一強の背景には、「制約の少なさ」がそのまま普及の広さに直結するという力学があります。MITは著作権表示を残すだけでよく、企業が製品に組み込む際の法務チェックが最も軽い。npmをはじめとするパッケージ文化でMITが事実上の初期値になっていることも、比率を押し上げています。

Apache-2.0が2位なのは、特許条項による安心感ゆえ。GPL系が合わせて約20%残っているのは歴史的な資産(Linux文化圏の大型プロジェクト)が効いていますが、新規プロジェクトの選好はパーミッシブに傾いています。

母集団はとても広い

改変を隠したまま事業化できるOSSが世の中の大多数、という事実がデータで裏付けられました。「使えるライセンスが見つからない」ことは、まず起きません。

勝負どころはライセンスではなく“需要”

ボトルネックは供給(使えるOSS)ではなく需要の発見です。たとえば「英語のみで日本語対応が無い」といった空白を突けるかが、マネタイズの分かれ目になります。

全ライセンスのOK/NG判定(どれをSaaS化できるか)を見る

04データの出典と注意点

データ源
Google BigQuery 公開データセット bigquery-public-data.github_repos
テーブル
licenses
母数
3,325,634 リポジトリ(ライセンス検出済み)
取得日
2026-07-07
注意:これはライセンスが検出されたリポジトリの中での割合です。GitHub全体ではライセンス未設定(=全権利留保で利用不可)のリポジトリが最多で、本集計には含まれません。まず「ライセンスがあるか」が最初の関門になります。

実行したクエリ

SELECT license,
  COUNT(*) AS repo_count,
  ROUND(COUNT(*) * 100.0 /
    SUM(COUNT(*)) OVER (), 2) AS pct
FROM `bigquery-public-data.github_repos.licenses`
GROUP BY license
ORDER BY repo_count DESC;
-- スキャン 24.63MB(無料枠内)

05よくある質問

OSSなら自由に商用サービス化できますか?

ライセンス次第です。MIT・Apache-2.0・BSD・ISC(合わせて全体の72.6%)は、改変を非公開にしたままSaaSとして提供・収益化できます。一方でAGPL-3.0(1.24%)は改変ソースの公開義務があり、非公開SaaSには使えません。

ライセンスが書かれていないOSSは使えますか?

使えません。ライセンス表記が無いということは、著作権者が全ての権利を保持している状態(全権利留保)です。利用・改変・再配布のいずれにも権利者の許可が必要で、無断利用は著作権侵害になり得ます。

GPLのソフトをSaaSにすると、自分の改変も公開しなければなりませんか?

サーバーで運用して提供するSaaSに限れば、改変を公開する必要はありません(『配布』に当たらないため)。ただしユーザーにバイナリを配布した時点で、ソース公開義務が発生します。

GitHubで最も多いライセンスは何ですか?

MITです。ライセンスが検出されたリポジトリの51.0%を占め、2位のApache-2.0(14.9%)を大きく引き離しています。

この割合はGitHub全体のものですか?

いいえ。ライセンスが検出されたリポジトリの中での割合です。GitHub全体ではライセンス未設定のリポジトリが最多で、それらは原則として利用できません。